新しいソフトなどのインストールも終わり、

ボンゴレから持ってきていたCDをケースに直すと、

イスの背もたれにおもいっきりもたれて伸びをする。

だいぶ、こちらでの仕事も片付いた。

ボンゴレに帰れそうな日ももう間近に見えている気がする。

机の上に置いてあったカップを手にもち、

もうすっかり冷めてしまったコーヒーを口にふくもうとしたとき、

情報室の扉が開いたので、

そのままの姿勢で固まった。










「ん?」







入ってきた人物はレヴィ。

ドアをあけてすぐにを見つけた彼は扉から顔を出したまま話した。

彼が呼びにくるとき、はけっして良い思いをしたことはない。

今回だってなんとなくだが嫌な予感がしたのだ。

まだ用件を言われていないのに顔がひきつりそうになる。








「ボスがお呼びだ」

「…」

「おい、聞いてるのか?」

「…やっぱりね」







顔を引きつらせながら、

冷めたコーヒーを飲み干すと、

情報室にいる部下の人たちにこれからの指示をしておいた。

部下の人たちからの哀れみに近い目線が、

これからおこるだろう苦労と重なる。









「こっちのボス怖いからな…」








レヴィに睨まれた。


















奉公










「失礼します」






部屋に入れば、今日も物は飛んでこず、

すんなり中に入れたことで少しは安心する。

内心ビクビクしながらザンザスの前に立った。






「部下の奴らが仕事でいない」

「…?」

「今日一日側近になれ」

「・・・」







あきらかに不愉快な顔にならなかっただろうか?

考えただけで気苦労が多そうな仕事である。

こんなことなら一日中情報室にこもっておけばよかったと、

どれほど考えたことか・・・。







「わかったな」

「・・・」

「・・・」

「わかりました」







ボスの睨みに負けた。












側近、といわれても、何をしていいのかわからない。

とりあえず、そこは素直に聞いてみることにした。









「あの、具体的に、何をすれば・・・?」

「オレの言うことを聞け」

「・・・さいですか・・・」







ヒマな時間がもったいないと思い、

情報室からノートパソコンを持ってくる。

ボスからの命令がないときはこっちの仕事をすることにした。

昼ごろになり、ザンザスが口を開く。







「腹が減った」

「・・・?」

「持って来い」

「・・・了解」







言うことを聞けって、こういうことか。

しぶしぶ立ち上がり、昼ごはんを受け取りに行く。

何をつくるかと聞かれたが、

とくに思いつかないのでなんでもいいという。

もってかえって、机に置くなり、あっさり言われた。








「食う気がしねぇ、別のもん持って来い」

「はぁ?」

「あ?」

「すいません、只今!」







野菜中心の料理がまずかったのか。

そう思い、コックに肉料理を頼む。

机の上に置いた。






「フィレ肉にしろ」

「・・・」





なんつーわがままなボスだ。

心の中でそう叫びながら、

さげる料理をもちながら廊下を歩くとき舌打ちをする。

苦労してるわねーとルッスーリアに言われて睨んだ。






「フィレ肉お持ちしました」







これでどうだ!

といわんばかりに机の上に叩きつけるようにして皿を置く。

食べたいといっていたものを持ってきたんだから、食えよ!

彼女の目はそう語っていた。







「気が変わった」

「はぁ!?」

「ロース持って来い」

「なんつーわがままな・・・・」

「あ?」

「・・・すぐにお持ちします」






気づかれしすぎてやせそうだ。

ヴァリアーの人はたいへんだなぁ。

遠い目で廊下を歩いているとき、

スクアーロを見かけた。

向こうもこちらに気がついたようで、

手に持つ料理に視線を落とした。







「お前も苦労してんだなぁ"・・・」

「スクアーロもね」







苦労してる者同士、涙が出そうになった。

晩御飯も、このやりとりをしなければならないのだろうか?

そう思うと胃が痛くなった。