「…38℃」





ズズ






「…熱だな」






ズズ






「あっそう」

「お前大丈夫か"ぁ?」

「…スクアーロがぼやける」

「大丈夫じゃないんだな"ぁ"…」

「仕事しなきゃ…」







起き上がろうとしたが、ベットに押し返された。

けっこう世話好きなのかな?なんてことを、

スクアーロをみながら思っていると、

頭に冷たい感触を感じた。







「今日は寝てろ"ぉ、働きすぎだ」

「そーする」







すっと目を閉じると、

すぐに意識がとおくなった。

鼻がつまって息苦しいんだけれど、

そればっかりは仕方がなかった。















鼻水










ある程度寝て、目が覚めると眠くなくなった。

それでもボーっとするしダルいし、

何もする気力がないのでひたすら天井を見つめていた。

そこに扉が開く音がしたのでそちらに振り返る。

額からタオルがずり落ちる。







、大丈夫?」

「マーモン」

「タオル落ちてるよ」

「ありがと」








マーモンが枕元近くにおいてあるイスに座る。

ついでにズリ落ちたタオルをもう一度乗せてくれた。

ヴァリアーはボンゴレ最強部隊というが、

みんな意外に優しい。

と、はつくづくそう思った。







「顔まっか」

「熱ですから…」

「鼻声だね」

「マーモンと一緒」

「僕は年中鼻炎だから」

「はは」







ズズ






二人して鼻をすする。

窓から差し込む光から、

今は昼過ぎぐらいだろうか。







「仕事は?」

「ないよ」

「最近ヒマなの?」

「平和だからね」

「ふーん」

「ベルとレヴィは仕事らしいけど…」

「ふーん」

「仕事でよかったよ…とくに…」

「?」

「…なんでもない」








珍しく弱りきった彼女を見て、

ベルがいなくてほんとによかったと安堵する。

それにしても、と、珍しいものをみるようにを見る。

ウィザードと呼ばれ、非戦闘員(自称)といいはる彼女。

それでもそうとうな実力の持ち主だということは、

過去のリング争奪戦のときから知っている。

そんな彼女がやはり弱っているのはとても珍しく思えた。









「何?顔に何かついてる?」

「いいや、ぁ、鼻水でてるよ」

「ぇ、うそ!」

「うそ」

「…」

「むぎゃ!タオル投げないでよ」








鼻水をすする。

正直、息苦しかった。

鼻炎だの熱だの風邪だの、あまり病気にならないために、

いざなったときにどうすればいいのかがよくわからない。

年中鼻炎だというマーモンを少し尊敬する。








「マーモン」

「何?」

「息苦しいんだけどさ…」

「うん」

「どうしたら楽に寝てられる?」








鼻水の先輩である彼に尋ねる。

マーモンはやはり鼻炎のプロ(?)だけあって、

対処法を教えてくれる。

しばらくすると部屋を出て行き、

また意識を手放した。







一人で寝ているとき、

いや、

寝たいけど寝れないとき、

いろいろなことを考える。

こうやって看病してもらっているときによく思うのは、

自分ひとりでは生きていけないということ。

約10年前からずっと一緒にいるボンゴレのみんな、

みんななしでは生きて来れなかっただろうと思う。

いつもわりと強気な自分が、

こんな弱弱しいことを考えるのは、

やはり病気にかかっているからだろうか?

そう思えると、

なんだか自分で笑えてきて、

小さく笑った後、徐々に眠くなるのであった。








「あら〜ん!熱下がってるわよ!」

「やった」

「声はまだ鼻声ね」






ズズ







「そうみたい」

「そろそろご飯の時間だけど、食べれそう?」

「もちろん、食べるって」

「じゃ、一緒に行きましょうか」







今朝は重かったはずの体が今では少し軽い。

人間の驚異的な回復に少し驚きつつ、

暖かい格好をしてルッスーリアとともに部屋を後にする。






「マーモンが教えてくれた方法でよく寝れたんだ」

「へぇ!」

「さすがだよね」






ズズ





「ぁ、ベル」

お前熱出したって?」

「見てのとおり」

「今は?」

「元気ですけど?」

「っち」

「もーほらほらベルなんかほっていきましょ、

「お腹すいたー」







ティッシュで鼻をかんでいると、

それを見守るルッスーリアが廊下を進む。

そのまま突っ立ていたベルのもとにマーモンがやってくる。






「あんなに弱ってる珍しかったよ」

「ふーん」

「僕が看てたんだ」

「てめっ、嫌味かチビ?」

「羨ましいならそういいなよ」

「カッチーン」





騒がしい廊下を振り返ると、

マーモンとベルが喧嘩をおっぱじめていた。

その様子を見なかったことにしたは、

ティッシュを鼻にあてながらつぶやいた。






「鼻炎ってやだね」