「入るぞ」

「…」







朝一番、レヴィが部屋に入ってきた。

髭を生やし、

すっかりどこぞの武将のようなレヴィが入ってきた。

寝巻きという名の大きめのジャージのまま、

歯を磨きながらベットに座っているところに入ってきた。







「ぁ、れうぃおふぁいお」

「何といってるか聞き取れん」

「うぉめんうぉめん」







いそいでバタバタ洗面台に向かい、

歯磨きを終えて部屋に戻ってくて、

さっき言ったことをもう一回述べた。







「レヴィおはよう」

「うむ」

「で、こんな朝っぱらから何か?」







そういいながら近くにあった目覚まし時計をつかんだ。

時計の針は現在が7時半であることを示している。

だが、レヴィが部屋にくることは初めてだったので、

何かあるのだろうと思いおとなしく話を聞くことに。








「実は…」

「うん?」

「ボスからの呼び出しだ」

「…マジ?」














呼出











「はぁ…」







廊下をとぼとぼと歩きながら大きなため息一つ。

途中、飛びついてきたベルをもスルーするぐらい、

気分が沈んでいた。

未だに背中に張り付いているベルは不満気である。







「なぁなぁ、さっきからどした?」

「ボスに呼び出された」

「で?」

「呼び出された」

「…」

「あたし何かしたっけ?」

「さぁ?」







の中でのザンザスは…、というか

誰にとってもそうだろうが、

とても怖い人物だと認識されている。

口を開けば「カス」だのなんだの、

グラスや灰皿まで飛んでくる始末だ。







「っ…寒気がする」

「王子があっためてやるよ」

「いらない」







やっと背中のお荷物を引き剥がすと、

重い足取りのままボスの部屋へと向かうことにする。

マーモンにエールを送られてちょっぴり元気が出た。

だが、部屋に入るときは常に五感を研ぎ澄ます。

扉を開けた瞬間に、何が飛んでくるかわからないからだ。

ドアノブに手をかけながら、

フーと深呼吸をする。







「失礼します…」







勢いよくドアをあけ、飛んでくるものに備える。

が、



… …







「あれ?」






変に身構えたまま何も飛んでこないので、

自分が恥ずかしいことになっていることに気がついた。

豪華なイスにえらそうに座っているザンザスも

それを見て、口の端を吊り上げている。







「…何も、飛んでこない」

「バカか」

「なっ!?」







はめられた!とばかりに悔しそうな顔をすると、

向かいからはクククと押し殺すような声が聞こえる。

あぁ、なんて自分は愚かなんだ。と思う。






「とりあえず、座れ」

「はい…」






ソファにおとなしく座っていると、

向かいのソファにザンザスが移動してきた。

なんとなく気まずい雰囲気には耐える。

彼女にとっては何よりも最初の屈辱がこたえた。







「で、」

「あ?」

「何か用ですか?」

「…」

「…あの?」

「仕事はどうだ?」

「まぁ、順調です」






話すときには相手の目を見るようにしている。

下を向いていては失礼だと思っているからだ。

目の前の人を見るには勇気がいるが、

目をあげてみれば見るほどボンゴレの二代目のボスに似ている。







「あとどれぐらいかかる?」

「えー…このままだと一週間かかりません」

「そうか」

「…」

「…」






沈黙が痛い。

切実には思う。

もとより会話が弾む相手ではないのはわかっている。

あーもう帰ってもいいのかな?






「お前」

「はい!?」

「うるせぇ」

「すいません」

「ヴァリアーに入る気は?」

「ありません」

「ッハ、即答か」

「ヴァリアーもなにも、どっちもボンゴレじゃないですか」

「…」







一瞬、ザンザスが眉を寄せたので、

何かまずいことを言ったのか!?と必死に頭を回転させる。

そのの百面相を見てか、

またバカにされるような見られた気がした。








「どっちもボンゴレか」

「…」

「お前らしいな」

「…どうも?」

「褒めてねぇ」

「すいません」






直後、またザンザスが口を開こうとしたとき、

ノックをする音と、「失礼します!」という声が聞こえた。

部下らしい人が入ってきて、

ザンザスになにやら耳打ちをする。

は黙ってその様子を見ていた。

部下が出て行った後を追うように、

彼も立ち上がったので、

も思わず立ち上がる。







「仕事ですか?ボス」

「あぁ」

「気をつけて」

「あぁ」






ザンザスが前を通り過ぎていくとき、

頭をさげれば、

頭に置かれた彼の手。

思わず「え」といいそうになったが、

そのまま我慢して、

頭に置かれた重さがなくなったあと頭をあげた。

去っていくザンザスの姿に目をとめた。







「何だったの?」








自分の頭に手をのっけたまま、

しばらく呆然としていた。