一人では仕事は到底無理だ!

という結論に至ったので、

ヴァリアーの部下のなかで、

ある程度知識がある人たちを数人借りて、

ともに情報室にこもって仕事をすることにした。

みな、よく働くいい人たちばかりで、

は感心した。







「みんな働き者だよね」







ポツリといった言葉が近くで

書類整理していた人に聞こえたらしい。

「そんなことないです」と謙虚に答える。

その態度を見ては心を打たれる。

なんていい部下なんだ!と。

あんな上司たちがいてとても苦労しているんだろうな、

としみじみ思うと哀れに思えてくる。







「あんな上司たちで大変だね」

「ハハ…」

「みんな自己中心的だしさ、」

「あ、あの…」

「ん?」

「後ろ…」

「え?」







自分自身の背後を見て固まる部下を見て、

も恐る恐る振り返る。








「誰が自己中心的だとぉ?」

「ひぃっ!」







ツナのような悲鳴がでた。















感謝








「これから修行に付き合え"」

「いやいや、こっちの仕事のが優先」

「あ"ぁ?」






スクアーロの睨みに負けじと、一歩前に出る。






「ボスに言いつけるから」

「汚ぇぞぉ…」






スクアーロを黙らせる決めゼリフを言うと、

そのまま彼を部屋の外まで押し出し、

扉をバタリと閉めた。

あのスクアーロを丸め込んだということで拍手がおきた。









どんどんと部屋がすっきりしていくのが目に見える。

一人で整理するよりもやはり複数でしたほうが早いとのこと。

今日一日はおそらく、

コンピュータをいじるよりも、

肉体的な仕事のほうが多いだろう。





「っつかれた…」






昼になると、ある程度整理がついた。

ので、昼からはデータ入力を始めていこうとは決めた。






「とりあえず、一時から再開ということで」

「「「はい」」」

「えーと、昼からは引き続き資料整理と、」

「「「はい」」」

「えー…ある程度入力がすんだら技術的な指導もするから」

「「「わかりました」」」

「…ということです…」






これでもか!

というほど優秀そうな部下に気圧されながら、

いったんの解散とする。

自身ちゃんとした部下を持っていないので、

なんとも変な感じがするのだった。







「みんな優秀だなー」






接し方がかたすぎて逆に疲れてしまうのが難点だと思った。

情報室のソファに座り込み、

資料運びで疲れた腰を叩いていると、扉が開いた。

目線だけそちらを向け、

入ってきた人物を見てなんだか力が抜けた。






「あらー、お疲れね

「なんだルッスーリアか」

「なんだとは何よ!?」

「ハハ、なんとなく言っただけ」

「なんだかおばあちゃんみたいね、腰たたいてると」

「まぁね」






なれないことをすると、すぐに体に出てしまう。

たしかに年寄りみたいだと自分で笑えて来た。






「女の子なんだから体は大事にね」

「はいはい」

はほんとに可愛いんだから〜!」

「うぎゃぁ」







力のない声が出た。

ルッスーリアに抱きしめられても、

女友達とじゃれあう感覚に近いのでなんとも思わない。

ただ、ちょっとごつごつしてるだけで…







「る、ルッス姐さん!」

「あら〜、あなた達あんまりを働かしちゃダメだからね」

「「「はい!」」」

「ボスに言われてること忘れちゃだめだからね」

「「「はい!」」」

「え?」







は気になることがあった。

彼らがボスに何を言われているか、だ。

「はい!」と答えるとき、若干顔が青くならなかったか?






「それじゃ私も仕事があるから、またねぇ〜」

「ぁ、ちょっと!」

「なぁに?」

「ボスに何言われてるの?」







ルッスーリアは部屋の去り際、

にウィンクを飛ばすと、

扉をしめながら言った。






「ひ・み・つ」

「…」


「でも、ボスには感謝しときなさいよ」


「はぁ?」






バタンと扉がしまると、変に静かな空気が流れる。

三人の部下に向き直り、再び問い詰める。






「ボスに何言われたの?」

「…いや、その…」

さんには…その」

「言うなと言われてますので」

「…ふーん」






ジトリと横目で見れば、気まずそうに目をそらす。

ますます気になったが、

時間が時間だったのでさっさと仕事を始めるとした。






「じゃぁ、作業しますか!」





一日仕事が終わっても、

わからずじまいで、引っかかっていた。

とくに「感謝」の部分にだ。

真夜中になって、今日の分の仕事が終わって、

情報室を今日はじめて出た。

ボキボキなる背骨を伸ばし、

自分の部屋までの廊下をあるいていると、

スクアーロにばったり会った。









「スクアーロ」

「なんだぁ?」

「あたしはボスに感謝すべき?」

「…?」






しばらく間があってから言葉が返ってきた。







「オレよりも扱いいいからな"ぁ、お前は」

「ま、スクアーロよりはね」

「…お前なぁ」