命がいくつあってもたりないのではないか?
はココ、ヴァリアーの本部にお使いに出されるたびに思っていた。
そして、今、その危険地帯に一週間も滞在しなくてはならないだろう、
という事実に直面している。
朝一番。
フカフカのベットで気持ちよく眠っているとき、
何かが崩れるような音で目が覚めた。
と、同時にかなりの嫌な予感がする。
おそるおそる物音がした部屋の扉の方をみやる。
「ぁ、起きてた?っつまんねーの」
「べ…ベル?」
木っ端微塵となってしまった扉を呆れて見つめた。
と同時になんてことしてんだ!と強く驚く。
ヴァリアーでは扉を壊すのが日常的なのだろうか?
「せっかく寝込みをおそ……ブッ!」
続きのセリフがなんとなく想像できたので、
反射的に枕を投げつける。
見事にベルの顔面にヒットした。
安心して寝るどころじゃないな!と恐怖を覚えながら、
ボンゴレにいるとき、決まって起こしに来る獄寺を懐かしく思う。
彼の起こし方に不満を持っていた自分が申し訳なかった。
「すまん、隼人」
向こうでは目覚ましのかわりだった友に、
心から深くわびた。

戦争
「うわ!まだいたの?」
着替え終わって、顔も洗って、部屋を出ると、
着替え前に追い出したはずのベルが部屋を出てすぐのところで待っていた。
壊れた扉はヴァリアーの人がすぐに直してくれた。
器物損害はなるべく控えてほしいと切実に思う。
「朝食行こうぜ」
「あぁ、うん。ベルって夜型だと思ってた」
「は?」
「朝でも普通に起きてるんだね」
「王子は三時間寝ればじゅーぶん」
「さすが」
過去の偉人と同じ睡眠時間だと聞いて素直に驚いた。
仕事柄から朝昼はずっと寝ているもんだと思っていたが、
べつにそうではないらしい。
彼の話からだと好きなときに好きなことをしているらしい。
まぁ、それは彼だからかもしれない。
と、は思う。
ベルはヴァリアーの中でも自分の好き勝手しているイメージがあった。
「わお」
若干、雲雀を意識しての感想を述べる。
すでにテーブルには豪華な朝食が並べられている。
適当なところに腰をおろすと、
王子が横にドカリとすわった。
「今日はバイキングか…」
「?」
「早く食べてたほうがいいかも」
「?」
ベルの言うように大皿にある程度の量の料理がもられている。
大皿から自分の小皿に自分でとって食べる。
彼の言うようにたしかにバイキング形式らしい。
彼の言う意味はわからないままだが、
せっせと自分の量を確保しはじめるベルにならい、
も自分の皿に料理をとっていく。
と、
そこにボスを除くかく面々が朝食に参加する。
「あら〜ん!」
と、料理を見て嬉しそうに声をあげたルッスーリアを見る。
「私の大好きなサラダがあるじゃなぁ〜い!」
ルッスーリアの視線をたどると、
たしかにおいしそうなサラダがボールに入っている。
サラダがあることに初めて気がついたは、
「ぁ、ホントだ!」と声をあげたあと、
自分の皿にサラダを盛る。
「野菜は美容にいいからもしっかり食べるのよ」
「美容…」
「あら?レヴィ、何か言った?」
「い、いや…」
はサラダをほおばりながらあたりの様子を見る。
ヴァリアーの私生活を見るのは初めてかもしれない。
なんだか異常な光景のように思えた。
ルッスーリアがサラダボールに向かう途中、
ベルとスクアーロ、マーモン、レヴィ、
全員がサラダをとったためにルッスーリアの分がなくなる。
「ちょっと!」
「あ"?」
「あなたたち私に対する嫌味!?」
「何が?」
「サラダがなくなったじゃないのぉ!?」
「朝からうっせ」
サラダをほおばりながらは冷や汗をかきはじめる。
怪しくなる雲行きに、ハラハラドキドキしていた。
朝食ぐらい、和やかに食べたいのだが…
マーモンはおかまいなしに自分の分の朝食を食べていた。
「うるさいって、ベル!」
「なんだよ」
「あんたサラダなんて日ごろ食べないじゃないの!?」
「は?王子が何食べようが勝手だろーが」
「キー!あーいえばこーいう!」
黙々と料理を食べるマーモンに
「どうにかしてくれ」とアイコンタクトをとるが、
一瞬目があったのちに、綺麗に無視された。
これも、いつものことなのだろうか…?
「これ、食べちゃうんだから!」
「あぁっ!!」
ルッスーリアが持っていたフォークが、
ベルの皿の上に一つだけ残っていたサンドイッチを奪った。
あっというまに起こった出来事に
は目をパチパチさせる。
「ってめ…」
「ってうぉお"お"ぃ!なんでオレのをとるんだぁ!?」
ベルはスクアーロの皿の上のサンドイッチを食べる。
もちろんスクーアロは内心穏やかではない。
も内心穏やかではない。
なるべく気がつかれないように、
自分の皿を持って、遠ざかろうとしている。
「レヴィ!お前も何してるんだぁ!?」
「ボスの分を…」
「とか言いながら自分で食べるつもりじゃん?ししっ」
「残り少ないデザートを持ってくなんて許せないわ!」
「なっ…」
「やることがきたねぇんだ、てめぇは」
「それ、私が食べてあげる」
「いーや、王子がもらう」
「お"ぃ"!フォーク投げるな"ぁ"!」
「ぁ、バレた?」
「殺すぞぉ"!?」
「食べ物の恨みは恐ろしいわよぉ〜!」
そのうちナイフ、フォークさまざまなものが宙を舞い、
は青ざめながらその部屋を後にした。
手にはしっかりお皿をもって。
ちゃっかりマーモンも抜けてきたらしく、
同じくお皿を持って隣に立っていた。
「いつもこう?」
「バイキングの時はね」
「…早く帰りたい」
食堂の中から聞こえてくるすさまじい物音をBGMにして、
マーモンと二人で黙々と食事の続きをするであった。
「…これ、食べないの?」
「あぁ!残してたのに」
「ぁ、ごめん」
「なんで笑うの?わざと?」
「まさか」
仕返しに、マーモンの皿の上のパンを口に放り込んだ。
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