「情報室はここですので」

「ありがとうございます」

「何かありましたらなんなりとお呼びください」

「わかりました」







パタンとしまった扉を見る。

ヴァリアーの一人に案内されてやってきた情報室。

やってきたのはいいのだが…とは棒立ちした。

そして、部屋の中の目の前の資料の山を遠い目で見つめた。

システム更新、情報の整理はいいのだが、








「…この量の書類を…?」







果てしなく気が遠くなりそうな書類の山を見る。

こちら関係の専門的な人物がいないとはいえ、

これはひどいじゃないか!とはザンザスに怒鳴ってやりたいが、

怖すぎてできるはずもなく、

なによりも、この桁はずれの書類の量に怒る気力も失せた。

もってきた荷物を置いて、部屋をぐるりと見渡す。

何から手をつけていいものか…

考え込んでいると、勢いよく扉が開く。








「あら〜ん!来てるなら言ってよね!」

「…ルッスーリア」

「こんなところにいないで、買い物に行きましょ!」

「…」

「ぉ、何々?ここがの仕事場?サボっちゃえって!」

「ベル、はアタシと買い物にいくんだから」

「は?お前の都合なんて知るか」

「…」

「ルッスーリアなんてほっといて」

「なんですって!」

「王子の邪魔すんなって」

「…」







はぁ。

二人に聞こえるはずの大きなため息をついたのだが、

それでも二人は口論を続けている様子。

どうやらそれなりに歓迎はされているらしいのだが、

仕事をすんなりさせてくれるわけじゃぁないらしい。








「とりあえず、」

「「ん?」」

「出てって」







お前らのボスに言いつけてやるからな!
















歓迎













なんとかベルとルッスーリアを追い返し、再び書類の山と向き合う。

「んー」とうなりながらしばらく腕を組んで考えた後、

とりあえず一番大変であろうシステム更新を先に終えてしまおうと決める。

荷物を持って、メインコンピューターの前に腰をおろす。







「古っ…」






ボンゴレ本部のコンピューターは常に自分自身かジャンニーニが、

新しいものにしていたり、メンテナスをしたり、

ちょくちょくと行っている分だけに、

こちらのコンピューターのシステムやなんやらが、古く感じられた。

やはり、まずはこれからだな。

そう思って電源を入れて立ち上がるのを待った。










昼過ぎから夕方まで誰の邪魔もされずに、

ひたすらモニターと向かい合っていたが、

一区切りもつき、集中の糸も切れたので、

イスから立ち上がり、うーんと背伸びをする。

時計を見ればもう夕方の5時をまわっていた。

いつだってそう。

画面と向かい合って、窓のない部屋にいると、

時間の感覚がどうやらなくなってしまうらしい。








「どう?仕事は進んでる?」

「マーモン!」







扉が開いたかと思うと、マーモンが部屋に入ってくる。

ヴァリアーの中でもまだ常識を持っているであろう友に近づいた。

(金のことに関してはそうは言えないが)







「もちろん、泊まりでしょ?」

「一日で終わらないよ、こんなの」

の部屋に案内するよう言われてね」

「あ!部屋用意してくれたんだ」

「もちろん、それとこの建物の案内もね」

「ありがとう、今もう行く?」

「うん、行くよ」







は持ってきていた荷物をバタバタとまとめると、

必要なものはこの部屋に残したままマーモンの後に続いた。

用意された部屋は豪華な作りだった。

わりとボンゴレの建物はシンプルなので、

ものすごく豪華に見えるのかもしれない。







「これが、鍵」

「ん、わかった」

「ここは自由に使っていいってボスが」

「はいよ」

「荷物置いたら、このまま夕食に行こう」

「うん」







泊まりの用意もつまったボストンバッグをベットにほうり投げて、

扉の鍵をしめ、マーモンに続く。

行き先は食堂らしかった。

長くて一続きのテーブルがあり、イスが何脚も置いてある。

テーブルクロスが白くてまぶしく感じられる。

一流レストランのテーブルセットのようだ。







「うわーなんかすごいね、初めて入ったココ」






感じたままに率直にのべた。







「ボンゴレはもっと違うの?」

「うん、もっと…庶民的?な感じ」

「ふーん?」








ボンゴレは大きなテーブルもあるのだが、

基本数セットにわけられている。

簡単に言うならファーストフード店のような並びである。

もちろん、こうしたちゃんとした食堂もあるのだが、

ほぼ、使われることはない。







「今日はみんなそろってから食べるんだって」

「今日は?」

「うん、が来たからじゃない?」

「…」







喜んでいいのか、そうじゃないのか微妙なところだった。

あのメンツが一度に同じ場所にそろって、食事をする。

食事する場所が戦場のようになるのではないかと、

勝手な想像を働かせる。

ボスがスクアーロにグラスを投げつけるところが容易く想像できた。







「食事に毒とか入ってないよね?」

「まさか、考えすぎだよ」






しばらくするとぞろぞろとメンバーが集合し始める。

「腹へったー」とベルがきて、

「飯はまだかぁ!?」とスクアーロ、

「今日は何かしら?」とルッスーリア、

きてたのか!」とレヴィ、

そしてザンザスが入ってきて、所謂、お誕生日席に座る。

すると次々料理が運ばれてきた。

それこそ三ツ星レストランで出されてもおかしくない料理ばかりだ。

は「すごい!」と何から何まで驚いた。






「おい!」

、呼ばれてるわよ」

「ぇ、あたし?」






食事中に突如発したザンザスの言葉の意味を読み取ると、

ルッスーリアが小声でを呼んだ。

「おい」だけで誰を呼んだかわかるのがさすがだと思う。

動かしていたフォークとナイフを置いて振り返る。







「なんですか?」

「どれぐらいで終わりそうだ?」

「……ぇーっと……一週間はかかります、たぶん」

「あら!?ホント!?」

「しし、よっしゃ!」

「一週間もいるのかよ"ぉ!」

「ぁ、そんなにいるんだ」

「一週間も…!」







作業を一人でするとなればそれぐらいかかるだろうと、

予測でいった「一週間」の言葉に対し、

ルッスーリア、

ベル、

スクアーロ、

マーモン、

レヴィがそれぞれ反応する。

一斉に発せられたそれらの言葉にはギョッとしてメンバーを見渡す。







「明日はオレの修行に付き合えよ"ぉ!」

「うるせぇカス」







赤ワインの入ったグラスが、スクアーロに飛んだ。

なんて予想通りなんだ!と一人が驚いたが、

他のメンバーはいつものことなのか、

怒るスクアーロを見事に無視していた。







「ヴァリアー…すごい」

「どういう意味で?」

「…いろいろ」