ずっとイスに座りっぱなしだったので立ち上がり、

固まってしまった体を「んー」と伸ばした。

ふと、自分の武器である短刀に最近触ってないことに気づき、

何かを思い立ったように情報室を飛び出した。

部屋に戻って二本の短刀を両手に握り、トレーニング室へと足を運ぶ。

中から音が聞こえてきたので先客がどうやらいるらしい。





ではないか!」


「了平ココ使ってた?って・・・ぁ!」


「久しぶりだな、コラ」


「コロネロ!」


「師匠とトレーニングを久々にやっとたのだ!」





この二人もいつぞやのリング争奪戦以来、師弟関係となっている。

つくづくボンゴレはアルコバレーノとの結びつきが強いな、

と思ったものだ。

なんせ、あのツナとリボーンも師弟関係なのだから。













 師 弟 












コロネロと笹川の修行とやらを観戦させてもらったあと、

三人そろって食堂へと足を運んだ。

コロネロと出会う人たちは次々に、

「きてたのか」だの、

「ちゃおっす、コロネロ」だの、

「ぁ、久しぶりですね」だの、

様々に声をかける。








ガッツリなご飯を食べている熱血師弟と、

コーヒーだけを飲むが話し合う。

話題は、"師弟"についてだった。






「一つ聞きたかったんだが・・・」






と、いうのは、スプーンを口に運びかけている笹川である。

自分に向かって発せられた言葉だと理解すると、

は顔をあげた。

コロネロも興味津々といったかんじに聞いている。






に師匠はいるのか?」

「オレも思ったぞ、コラ」






師匠・・・師匠。

笹川の問に、しばし考えてみる。

そういえば、そんな話題になったことはあまりない。

しゃべりなれない話題に、頭を必死に働かせる。

師匠、というのだから、の場合、

情報技術を誰に習ったか、になるのだろうか?






「んー、いるのは・・・いるかな?」

「誰だ?」

「なんていうか、こっち方面に興味を持ったきっかけなんだけど・・・」







二人とも、興味津々。

は、二人の期待にはこたえられそうにないな、と苦笑する。







「父親かな?」

「「父親?」」

「そう」

「・・・でも、、お前・・・」






なにか、言いたげに笹川は口ごもる。

『お前、両親はいないだろう』

そういいたかったのだが、言うにいえない。

意味を汲み取ったは「あぁ」と口に出すと、

笑いながらいった。






「別に大丈夫、だいぶ前のことだし」

「すまん」

「何の話だ、コラ?」

「父親といっても、あたしの両親は小さい頃に亡くなって・・・」






たしか、不運な交通事故だと聞いている。

一応、意識を持っていた年齢なので、

突然のことに理解できず、しばらくは悲しみにくれた。






「両親が死んで、二人が持っていた物を眺めるようになったの」






悲しみにくれたは、

家に引きこもり、

両親を思い出すかのように二人がこの世に残したものを探った。







「父は、情報企業に勤めてて、家にもパソコンとか、
 それに関する本がいっぱいおいてあったんです」






悲しみを忘れ、ひたすら、

情報に関する知識をつめこみ、身につけた。

父親と自分が同じことをしている。

と思えるだけで、救われる気がした。

今から考えれば、ただのバカだった。と思う。






「それで、今にいたると」

「ほぉー!」

「きっともとからの才能だな、コラ」

「そう言われると嬉しいかも」

「きっと師匠の言うとおりだ!」

「そうなのかなー」






その後、その日の昼間はその師弟コンビと過ごす。

は少しだけ羨ましいように思えた。

師匠と弟子の関係が、羨ましかった。

きっと家族とはまた違う、大切さがあるのだろうと思う。

笹川とコロネロ、

二人に限らず、師弟をみるといつもそう思うのだ。

の場合は父が師匠であり、家族だった。













「元気ねぇぞ、

「リボーン」







談話室というか、みんなの共有のスペースにある、

ソファに座ってぼぉっとしているとリボーンから声をかけられた。

近くにツナがいなかったから、

きっと別々で仕事だったのだと理解する。

んー!と伸びた後、リボーンに言った。






「さっきまで了平とコロネロと話してたんだ」

「知ってるぞ」

「それで、師弟の話になって・・・」

「・・・」

「なんか、師弟関係が羨ましいなーって」

「そうなのか」

「うん」






「そうか」、と小さく呟くとこちらを見る。

意味ありげにうなずくと、リボーンの口が開いた。






ももう、大人だぞ」

「そうだねー、早いね」

「年寄りくさいな」

「ハハ」

「いつか、自身が師匠になるかもしれねぇんだ」

「・・・・」






そうか。

思いもよらないことをリボーンにいわれた。

たしかに、そうなのかもしれない。

時とは、なんと早いものなのだろうか。

進んでほしくなくとも、進んでゆくのだ。






「いつかできるかもしれねぇ、弟子のために」

「うん」

「尽くしてやれよ」

「そうだね」





そうだよね。

もう一回、自分に言い聞かせるように言った。

父親のことを思いだし、しんみりしてしまったいただが、

リボーンの言葉で何故か元気がでた。

リボーンとて、ツナのためにいろいろやってきたのが事実だ。

は師弟関係がすばらしいものなのだと、あらためて実感する。







「あー!なんか元気でた!」

「そうか、そりゃぁよかったな」

「ね、リボーン!」

「なんだ?」

「今からなんか食べに行かない?」

「悪くねぇな」

「おいしい店知ってるんだ!いこいこ!」

「オレは味にはうるせーぞ」

「言うね」