「アメリカに行くの初めてなんだけど・・」
「べつにいいじゃねぇか」
「隼人は英語ペラペラ?」
「まぁな」
「・・・そっか、昔から勉強できたもんね」
「お前は?」
「この前、"研修だから"って言われて英語圏のイギリスに放り込まれた」
「・・・・・・誰に?」
「千種先生」
ここはアメリカ行きの飛行機内。
飛行機の中でも一番いい席に座りながらと獄寺は話をしている。
千種の名前を聞いた獄寺は水を飲んでいたのだが、むせ返った。
は機内食を話しながら食べている。
「あいつに英語習ったのか?つーか、よく教えてくれたな」
「そうそう。なかなかスパルタなのよ・・」
「で、しゃべれるようになったわけか?」
「イギリスに丸腰のあたし達は放り込まれて・・・しゃべらざるをえない?って感じ?」
「・・・」
隣にすわる彼女のどこか遠くをみている目を見てよほど苦労したことが伺えた。
事実、と犬とクロームはイギリスに放り込まれた。
犬は「アイキャンノットスピークイングリッシュ!」を連呼するし、
クロームは黙り込んでしまう始末。
高校の授業と千種の講義をマジメに受けていたが話すしかなかったのだ。
おかげで完璧ではないものの、聞き取ることも、話すこともできるようになった。
イギリスから無事生還して帰ってきたとき、
千種のもとへみんなで抗議をしにいったのを思い出した。
「まぁ、よかったな」
「まーね」

進 出
今回はアメリカのマフィアに向かうことになっている。
ボンゴレもヨーロッパだけでなく、アメリカにも進出しようというのだ。
そうすることで仕事の量は増えてしまうが、
より広くボンゴレの名を広め、また多くのマフィアとも関わることができる。
そうしてアメリカの視察ということで送り込まれることになったのが、
獄寺、そしてというわけだ。
ツナ直々に指名された獄寺は「十代目が指名なさった!」とはりきっている。
はで始めていくアメリカに観光気分で臨んでいる。
そもそもなぜ二人が選ばれたのかというと、
獄寺に関しては英語が完璧に話せるから。というものであり、
に関しては英語も(なんとか)話せるし、情報を仕入れる。というものだからだ。
今回は自分の携帯の他に、持ち運びに便利なノートパソコンを持ってきている。
「何見てんだ?」
がノートパソコンを起動させて真剣に画面を見ているので声をかける。
隣の席から少し乗り出して画面を見れば観光地が乗っているサイトを見ている。
何しにきたんだ、お前は!と言ってやった。
「十代目からの仕事できたんだろーが!」
「ツナだって観光しておいでよ!って言ってくれたし」
「それよか先に仕事だ!仕事!」
「へいへい」
しぶしぶそのサイトを閉じて、パソコンも閉じる。
早くつかないかなーと足をブラブラさせた。
見えるのはザ・スタチュー・オブ・リバティ。
自由の女神像。
空港からニューヨク市中にやってきた。
周りを歩いている人たちが話しているのは英語ばかり。
いよいよアメリカにやってきたのだ、という実感が湧き始めた。
「・・・顔色悪いぞ?」
「・・イギリスでのトラウマがちょっと・・・」
「・・・」
初めての英語圏イギリスでの体験は思い出したくも無い。
とにかくイタリアに帰るために必死だったのを覚えている。
言葉の壁はこんなにも厚くて高いものだったのか!と身をもって思い知った。
「で、この車、どこむかってるの?」
「ホテルだ」
「先に荷物置くの?」
「それからニューヨークをしめてるっていうマフィアのボスに挨拶だと」
「アメリカだから、マフィアっていうより、ギャング?」
「かもな」
ふーん、と獄寺の言葉にうなずきながら車の窓から外を眺めた。
イタリアとは違う雰囲気に心躍った。
そのよこで、「コイツやる気あんのかよ・・・」とため息をつきながら、
これからの予定が書いてある資料に目を通した。
「ボンゴレのもんだが」
「こちらへどうぞ」
荷物をさっさと置いて、挨拶のためにとある高層ビルの一番上の階を訪れる。
おそらくここが本部ではない。挨拶をかわすためだけに選ばれた場所だった。
エレベーターで上に上がる途中、その中から見える街の光景に目を奪われた。
日本で言う東京をもっとすごくしたような場所だな、と思う。
チン。という音とともに扉が開いた。
大理石の敷き詰められた通路を歩いて一室に案内される。
正面の机に座っていたのは黒いスーツを身にまとった体格のいい黒人。
葉巻を吸っていて、いかにも・・・という感じがする。
「遠いとこ来てもらってすまなかったね。座ってもらって結構だよ」
「ありがとうございます」
獄寺が敬語をつかったのでは引いた。
それを見かねた彼はギロリと彼女を睨んだ。
言われるがままに座り、自己紹介をする。
「ボンゴレの知名度はこちらでもかなり高いものでね・・・お会いできて光栄だよ」
男は威厳があり、静かな口調で話している。
ツナが選んだグループなのだから良いマフィアなのだろう。
ツナはマフィアの存続がどうよりも、人の命の方を選ぶ。
ボンゴレはマフィアながら市民からの厚い信頼を得ている。
なるべく無駄に命は絶たないし、
そういう仕事があったとしても最小限でとどめろというのだ。
はツナがボスならボンゴレに入ってもいい。
そう思ってボンゴレのファミリーとなった。
ここにいる獄寺でさえ、ツナに惹かれてボンゴレに入ったわけだ。
昔から「十代目の右腕はオレだ!」などと言っているのは変わりない。
「それでは、しつれいしました」
「しつれいしました」
堅苦しい挨拶とやらを終えて、本来の大きな目的は終了した。
高層ビルから出ると、はまだ仕事があるのかをたずねた。
彼曰く、今日はもう何もないらしい。
挨拶のことをツナに連絡するだけだと言っていた。
「ツナに連絡はいつするの?」
「十代目は昼仕事らしいから夜でいいだろ」
「じゃ、観光行こう!」
「さては、お前さっきもそんなことばっか考えてやがったなぁ?!」
「それが何か?」
ギャーギャーうるさい獄寺を丸め込み、さっそく観光を始めることにする。
ニューヨーク市内なだけに人も多ければ、
それだけに有名な店や場所なども多かった。
街を歩けば二人は人目を惹いた。
日本人である上にどちらも容貌が優れているからである。
獄寺は中学のころからモテているが、今も女性から言い寄られているほどだ。
愛人をつくればいいのに、とからかったら本気でキレられたことがある。
何故かボンゴレでは愛人を作る人はいない。
「っのぁ!?イキナリ引っ張んな!」
「この店見ていい?雑誌で見たことある」
「待っとくからいってこい」
「え・・・隼人一緒に来てよ」
"一緒に来てよ"というのを聞いて「なっ・・・」と声をあげてしまう。
そんなに自分と一緒がいいのかよ、なんて考えをしていると・・・
「専門英語わかんないし」
「・・・」
ほのかな期待は一瞬にして崩れ去った。
どーせこんなことだろーと思ってましたよ、と、
いじけながらに引っ張られて店に入っていく。
こんなふうにしていろいろな店に行った。
食べ物、服、靴、雑貨・・・
ホテルに帰る頃には荷物が増えていた。
文句をいうわりに獄寺もそれなりに買い物をしている。
「久々の休暇みたいなもんだからな」
「さすが、右腕はお忙しくていらっしゃる」
「まっ、十代目の右腕だからな!」
「はいはい」
一度ホテルに荷物を置き、獄寺はツナに連絡を入れていた。
その後、夕食は外食しにでかけることになったので、
再びニューヨークの街に足を運んだ。
「何食う?」
「ついでに軽く飲まない?」
「そーするか!」
タバコをふかす獄寺の横で、「ステーキが食べたい」とが言った。
あと二日アメリカに滞在するのだが、
誰にも邪魔をされずに二人でいれる嬉しさをかみしめ、
夜だというのにとても明るい街に感謝した。
「明日も観光楽しみだよね」
「仕事だっつーの!」
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