「こう?」
「違うぞ、ダメツナ」
「ふげぇっ!」
「相変わらずこっち方面はダメダメだな」
扉をあけると、
未だリボーンに容赦ない蹴りを食らわされているツナを見て固まった。
相変わらずのスパルタぶりに舌を巻く。
「お勉強中?」
「そうだぞ」
「リボーンって・・・相変わらず容赦ないんだ・・・」
けられたあごをさすりながら、涙目のツナが訴える。
昔と変わらず勉強の方面はどうも飲み込みが遅いらしい。
その光景には苦笑するしかない。
ツナは今、直接の取引をするときにどうするか、と、
語学の勉強中だったようだ。
イタリア語はさすがに現地に何年かいるので自然と話せるようになったものの、
他の語学に手を出しているツナはまだほとんど話すことができないらしい。
「話になんねーぞ」
「リボーンもスパルタだね」
「オレはツナの家庭教師だぞ?」
ニヤリと笑うリボーンに「ひぃっ!」とツナが短い悲鳴をあげる。

勉 強
「勉強か・・・」
正式なボンゴレファミリーになるさいに、作法、情勢、マフィアの常識など、
様々なことを教えられたときいらい勉強というものをまったくしていない。
も話せる語はイタリア語と日本語しかなかった。
英語は高校生のときの授業以来マジメに取り組んだことは無い。
リボーン曰く、英語と中国語、ロシア語は抑えとくべきだ。
と言って、先ほど「お前も勉強しろ」と厳しい一言を承った。
「イーピンいるかな?」
イーピンに中国語を教えてもらいたいと思ったのだ。
いろいろなところを探したが、いない。
ランボに聞いてみたら、昨日の便で飛行機に乗っていってしまったとのこと。
しかたがないので、英語なら誰か話せるだろうと思い、
人を探した。
誰が話せるんだろうか?
と・・・いうか、誰がいるんだろう?
みんな仕事でいないことが多いからな・・
急にわいてきた勉学に対する意欲がなくならないうちに、
誰がいるかを探しに探した。
本部より少し離れたたてものに犬と千種がいることを思い出したは、
そちらに足を運ぶことにした。
「いた!」
ここは骸や犬や千種、そしてクロームが行き来する建物で、
この建物と本部は地下通路で密かにつながっているのだ。
雲雀も馴れ合うのが嫌だということで、
少しはなれたところに和風のつくりの建物を持っている。
ここも同じく地下通路で密かにつながっているのだ。
リビングのような部屋をみれば、
犬はゲームをし、千種は雑誌をながめていた。
「ぁ!ら!」
「・・・何しにきたの?」
絨毯の上に転がりながらゲームをする犬は、
ゲームを止め、立ち上がった。
「骸さんとアレはいないけど?」
アレとはクロームのこと。
犬は何故か毛嫌いしているのだ。
クロームから愚痴られることがしばしばあった。
「犬は勉強できそうにないな・・・」
「あぁ!?お前、しつれーらぞ!」
「ぁ、声でてた?」
「ムカツクー!」
キーッ!と犬が叫んでるのを無視して、
ソファで雑誌を読んでいる千種の横に座る。
「千種は、英語できる?」
「・・・・は?」
「英語できる?」
「・・・まぁ、あっちに仕事いってたことあるし」
「まじで!」
犬が、英語か!?英語ができたら賢いのか!?と声をあげている。
千種がそれを聞いて、「犬、うるさい」と一蹴。
は千種がいたのか!と声をあげた。
「英語、教えてほしいんだけど・・・」
「めんどい」
「絶対いうと思ったわーそれ」
面白いほど予想通りの顔で、予想通りの言葉を言われたもんだから、
そう言ってソファのせもたれに身を投げる。
犬もゲームを切って向かいのソファにドカッと座った。
「っていうかなんで英語なんら?」
「しゃべれたほうがいいかなー?って思ったからさ」
「・・・実質的な目的はないの?」
「あたしもアメリカ旅行行きたい!」
「そこかよっっ!!こいつやっぱダメら!」
「犬に言われたくないし」
「うるへー!」
旅行というのは冗談で・・・仕事の範囲を増やしたいからだとちゃんと言った。
それでもまったくもって、どうでもよさそうな千種の腕をひっぱって、
千種頼むよ!と何度もお願いをくりかえす。
ダルそうに雑誌を机に放り出すと、条件を叩きつけてきた。
「教えるのいいけどさ、条件がある」
「何?」
「これ、欲しいな」
そう言って雑誌を指差す千種。
その先をたどっていけば、そこにはある会社の新作の車。
その値段を見て「高っ!」と叫んだ。
犬が「いーな、いーな!」と言っている。
「"ウィザード"なんだからそれぐらいのお金、どってことないでしょ?」
「どってことあるよ!」
「なんで?」
「あたしも前大きな買い物したから・・・かつかつなんだ」
「ひょー!金持ちは違うな!このこの!」
「犬・・・うざ」
「キャン!」
「大体この車、何個ゼロがついてると思ってんの!」
「じゃぁ、他あたってよ」
「えぇー」
まじかー!と頭を抱え必死に考える。
この前、ホントにこの前。
ジャンニーニにあたらしい機械を設置してもらうために払ったお金、
そして新しいソフトとシステムを導入したときに払ったお金、
それらがフラッシュバックのように脳裏をよこぎり、
札束がハラハラと散っていくような光景が浮かぶ。
でもアメリカに進めばかなりの仕事が流れてくるに違いない。
忙しくなるだろうが、それだけ財力も信頼も尽くし、
なによりボンゴレの名をひろげられる・・・。
しばらくうなったすえに、決意を固めた顔を千種に向けた。
「買ってあげる!」
「まじ!?」
「うん、犬、あたし、まじ」
千種がクスクスと笑い出す。
犬と一緒に何事か!と思い、そちらを見た。
「冗談だよ、冗談」
「カキピー、タチ悪っ!」
「そこまでお金出さなくても家庭教師雇えるし・・・」
「ぁ・・・そだね」
「バカら〜!」
「黙れ」
「骸様からも言われてるし、いいよ、教えるよ」
何言われてんのー!?とのけぞったが、何はともあれ感謝感激。
翌日からレッスンを開始するとのことで、話がまとまった。
翌日になって、建物に向かうと、クロームもついてくる。
クロームも英語を習いたいと言い出したのだ。
クロームの姿を見た犬はあからさまに顔をゆがめた。
「なんでお前がいるんら!」
「がいいっていうから・・・」
「犬!」
「ぅ・・・わかったから・・・」
ということで始まった千種先生による英語講座。
発音がペラペラすぎて笑えば、本気で睨まれるわ、
談笑しただけで「うるさい」と言われ、
騒ぎまくる犬にはヨーヨーが飛んだ。
「じゃぁ、明日は研修ということで、アメリカに行こうか」
「えぇ!イキナリら!?」
「犬は来なくていいよ」
「酷いっ!」
「お金は持ちね」
「えぇ!」
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