「ランボいる?」

「うわっ!・・って・・・さん!」






ノックぐらいしてください。という彼はを部屋に通した。

ごめんごめん。と大して悪びれた様子もない彼女はイスに座った。

こうして彼女が自分の部屋を訪ねてくれるのは嬉しいことだった。

五歳の時に始めてであったあのころから自分は彼女になついている。

いや、いつのまにか"懐く"という感情から"好き"という感情に変わった。

だが、確実にライバルが多い。

そして、恐らくそれは彼女は知らない。

まだ十代の自分を彼女はどう見ているのだろう?






「コーヒーでいいですか?」

「おまかせ!」














 事 情 















「今思ったけど、ボヴィーノなのにボンゴレにいていいの?」

「でもオレも守護者ですから・・・・一応は」

「向こうのボスは許してくれたの?」

「はい。あの有名なボンゴレとこれを機に同盟を結べるって喜んでましたから」

「なるほど」






たしかにマフィア界ではボンゴレの名は大きい。

ここにいる守護者たちだけではなく、

ヴァリアーという絶大な力を持つ組織までくっついているのだから。

有名なだけに働くこっちの身としては・・・しんどいのだが。

はヒマができるたびにちょくちょくとランボの部屋へとやってくる。

主に何をする・・・というわけもないが、お茶を飲みながら他愛もない話をするのだ。






「ランボの淹れるコーヒーはおいしいよね」

「ありがとうございます」





褒められたもんだから思わず照れてしまう。

彼女の本当に幸せそうな笑みは見ていて飽きない。

自分だけのものにしたいだなんて・・・おこがましいのだろうか。





「ぁ!町に新しいケーキ屋ができたんだけどさ、」

「チーズケーキがおいしいっていう先週できた所ですか?」

「そうそう!」

「オレもこんど買ってこようと思ってました!」

「あそこカフェみたいなのもあるんだけど、今度一緒に行こうよ」

「オレでよければ」

「決まりだね」






はケーキなどといった甘いものが大好物だ。

新しい店ができれば買いに行ったり、食べに行ったりする。

彼女と外出できるのは嬉しいことだが、

実はそれが霧や雲のにしれると恐ろしい・・・

いくどとなくそういう恐怖体験をしてきた。

でもやはりとの外出にはかえられないのだ。







「ぁ!こんなトコにいやがった!」

「ご、獄寺氏・・・」






どうやら幸せの時間は終わってしまうようだ。







「アホ牛の相手なんかしてねーで、早く来い!」

「えー」

「"えー"じゃない!仕事だ、仕事!」

「ったく・・・・・・・・・じゃーね、ランボ、約束だから!忘れないでよ!」






獄寺にせかされてでていく彼女の背中を見た。

部屋の扉をしめるまえに獄寺にギロリと睨まれ身を縮みあがらせる。

ランボはひそかに思った。

ボンゴレは彼女一人できっと左右するのだと・・・・













「仕事って・・・システムエラーかよ!」






情報がつまったサーバーやとにかくコンピュータに囲まれた部屋で叫んだ。

システムエラーはジャンニーニが発見したらしく、

細かい部分までどこがどうなっているかをちゃんと教えてくれたので、

どうやら就寝前には終わりそうだなと思う。






「し、しつれいします・・・」

「ぁ、クローム」

「コーヒー持ってきた」

「ありがと、そこ置いといて!」






コーヒーをおいたクロームは三つの画面の前に座る彼女をそっと見る。

どれも文字ばかりがぎっしりつまっていて自分にはわからない。

ボンゴレがのことを有能なハッカーだとして重宝しているのは知ってたし、

実践でもものすごい力を発揮する彼女を見たこともある。

初めて出会ったのは10年前程。

一番に自分のことを理解してくれるのことをクロームは大好きだった。

少しでも力になれたら・・と思うのだがこっち関係のことは分からない。






「・・・すごく、難しそう・・・」

「そう?」





そんなことないよ。と軽く笑う。





「仕事、見ていてもいい?」

「見ててつまんないだろうけど、どーぞ」






コーヒーを置いた小さな机のそばにあったイスに腰をかけた。

彼女はすばやくキーを押したり、

わからなくなって「うー」とうなったり、

頭をかいたりする。

確かにみていて面白くはないけれど、それでも彼女とともにいれるのが嬉しいのだ。

こちらのことを気遣ってか、ときたま話をふってくれる。

仕事の邪魔なのではないか・・・と思って部屋を出ようとしても、

「寂しいからいてよ」といわれれば出て行けるはずも無い。

「こんなこと男に言っちゃだめだからね」といえば「なんで?」といわれる始末。

そういうところに疎いのだ。










予想以上に2時間程度で直った。

ちょうど夕食の時間だったので、クロームと二人で食堂へ。

まだハルと京子も準備をしているだけだったので、

他にきている人は誰もいない。

女四人という華やかな場面だった。

そこにビアンキもくわわる。






「あら、とっても華やかね」

「はひぃ、ビアンキさん!」

「仕事帰りですか?」

「えぇ、ちょっと用事があったから・・・」







大人の女性の雰囲気にほぅ・・・とハルがため息をもらす。

それを見てが笑った。クロームもそれをみて少し楽しくなる。

たまにはこういうのもいいかもしれない。

ビアンキがリボーンへの愛を軽く語ったことから恋の話へと変わる。

好きな人はいないのか?

タイプはどういった人なのか?

などなど・・・

キャッキャと声があがる食堂に入ろうとしたツナは手をとめた。

リボーンは疑問に思ったが、中から聞こえる声から察した。

たしかに、入りにくい。






ちゃんはどうなの?」






京子がふいにへと話をふった。

いきなり名指しされたは「え?」と声をあげる。

扉に張り付くようにして話を聞いていたツナもドキッとした。

少なからずのことには興味がある。

誰にもなびくような素振りを見せないからこそ気になるのだ。

リボーンも興味があるように耳を傾けていた。





「もしかしてもしかして身近にいたりするんですかぁ!?」






ハルが興奮したように言うのをは笑った。

「ハルちゃんってば」なんて笑い声が聞こえる。

クロームが「、いるの?」なんて本気でたずねるものだから正直迷った。

と、いうか、自分自身正直分からない。






「好きな人かぁ・・・」






のつぶやきにツナとリボーンは釘付けだった。

と、そこへ獄寺と山本がやってくる。






「十代目、何してるんですか!?」

「しーっ!!」






声が大きい!といわんばかりにジェスチャーで静かにして!と伝えた。

すいませんした!という獄寺の横から山本が扉に近づく。

あのリボーンも何かをしている・・・ということでたずねた。






「小僧とツナ・・・、何やってんだ?」

「極秘情報採取中だぞ」

「はぁ?」






すると、扉の中から声が聞こえてくるので、女性陣が中にいることがわかった。

獄寺もなんだなんだ?と扉に近寄ってくる。

ほんの少しだけあいた扉から次々と声が聞こえる。

ハルの興奮したような声が聞こえた。

山本と獄寺は話の内容がわかったとたんに扉に張り付く勢いで耳を傾けた。






ちゃんのタイプが気になりますー!」

「え!まだこっちにフッてくんの!?」






いいかげん開放されたいな・・という思いがしたものの、

久々な女性だけのノリがつい楽しくて乗ってしまった。

何故か隣のクロームが真剣に聞いているのだけれど・・・





「えー・・・んー・・・一緒にいて楽しかったらいいや」

「もっと真剣に答えてくださいよー!」





ハルからの反発に苦笑した。

真剣といわれても・・・とただ笑うしかない。

京子ちゃんがもっと具体的に!というからなおさら困った。






「だって、思いつかないもんは思いつかないし・・・ねぇ、クローム?」

「ぇ、私に言われても・・・」






ビアンキはちらりと扉の方に目をやる。

詳しいことが聞けなかって残念がっているのはハルや京子だけじゃない。

外野も(というか外野の方が)かなり残念そうにしているのが見て取れた。






「そこの外野たち、もう入ってもいいわよ」

「「「!!」」」







ツナが「ビアンキ、気づいてたのー!?」と叫ぶ。

あたりまえじゃない、と鼻で笑うビアンキ。

今はメガネをしているから獄寺も倒れなかった。

何事かと思ったビアンキをのぞく女性陣四人が

ツナ達がゾロゾロと入ってくるのを見た。

はチラリと時計に目をやる。

もう夕食時だった。ずいぶん話し込んでいたことに今気が付いた。










夕食時、二人がけの席でクロームと食べていたら、

真顔でこんなことを聞かれた。






は好きな人いないの?」

「うん?まだ引きずってるの、ソレ・・・」





カチャリとパスタを食べていたフォークを皿に置き、あっさりという。





「あたしはみんな大好きだよ」

「でも・・・意味が少し違う・・・」

「まぁね」






クロームの言う"好き"は"LOVE"のこと。






「そっちは・・・まだいないかな?」

「そうなんだ」







どこかしらホッとする。

正直彼女にとってそのような存在があらわれてほしくない。

自分をいつも大切に扱ってくれる彼女をとられたくないから。






「あたしはさ!」

「うん?」

「クロームも好きだよ」






微笑みながらサラリと言われてしまってはどうすることもできない。

嬉しさと恥ずかしさのあまり、赤くなった顔を隠すのに下を向いた。